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悋気は恋慕に火を灯す【53】

グンと奥を突かれ、無言のままで俺の背中が自然と仰け反る。 力の入れへん腕がカクンて折れて肩で体を支えるみたいな格好になると、航生くんはちょっとだけ体を倒して俺のケツに体重をかけた。 そろ~っと腰を引くと、あのギンギンに張った亀頭で入り口から遠くない場所をグイグイ押し、ゴリゴリと擦る。 驚くくらいピンポイントを狙う動き。 そしてそこは、まさに俺が一番強烈な快感を得られる場所やった。 さっき指で解してる時に...当たりでもつけたんか? セックスに不慣れな航生くんを導いてやるはずやったのに、当の航生くんは確実に俺の性感帯を見つけ、そこを攻めながら俺を追い上げる。 いや、不慣れなんは間違いないか...ここって場所は見つけるけど、その動きに加減もなんもあれへんし。 お陰で俺は、導いてやる事も余裕を見せる事もできんと枕にしがみついてる。 ほんまに航生くんの動きは小さいのに、中を擦られるだけで『アァッ』なんて情けない声が漏れた。 今はそれを聞かせんように枕に声を染み込ませるんで必死やった。 腰の緩やかな動きはそのままに、航生くんの指がまた自信なさげに俺のチンチンに触れる。 ......いや、わかるやろ...ってか、わかれ! 絶対もう俺のチンチンなんて、濡れ濡れのグショグショやん。 元々はそないめちゃくちゃ先走りが多い方やとは思えへんけど、こんだけエエとこばっかり狙って抉られ擦られてたら、普段出ぇへんもんも出る。 それは残念ながら...声も一緒。 今までは共演者を、そしてビデオ観てる人を興奮させる為に、声を抑える事なんてせえへんかった。 それどころか、全部が演技とは言えへんにしても、意識して大きな声を出すようにしてた部分もある。 でも、今日はあかん。 相手は、男と寝るんが苦痛やった航生くんや。 可愛げもなんもない俺の喘ぎ声なんか聞いたって不快にしかなれへんやろう。 我慢しても我慢しても溢れてくる声を、それでも尚必死に我慢する。 こんな俺の体でも綺麗やって言うてくれる航生くんに嫌な思いをさせたない一心で。 その間も間違いなく航生くんはどんどん俺を追い上げていってて、これ以上は堪えられへんて訴えるみたいに脚も腰もプルプル震えだした。 チンチンを触ってた指が離れ、航生くんがピトッて胸を背中に合わせる。 「シンさん...今俺のが中にあるの...わかりますか?」 耳朶を柔く噛みながら、声を吹き込んでくる。 同じ所ばっかり捏ねてたはずの航生くんの先端が、グググッて奥まで潜ってきた。 その声に感じたように、俺と航生くんを繋ぐ場所がピクッピクッと不規則に収縮を繰り返してんのが自分でもわかる。 ......航生くん、ほんまに...その声やめて...ずるいから... 声に好き嫌いがあんのも、それに拘りが強いんも自覚してる。 せえけど、たかが『声』がここまで快感を高める愛撫になるやなんて思えへんかった。 「俺の、わかりますか? どんな形してて、どのくらい硬くなってて、どれだけあなたを欲しがってるか...わかりますか?」 俺を...欲しがってる...... その言葉は、魔法みたいに俺をカッと熱うした。 繋いだ場所だけやなく、航生くんを包み込む粘膜全部がウネウネと動き出すみたいな、それは初めての感覚。 抱き締めるように覆い被さる航生くんと、どんどん触れ合う面積が増えていく。 わかる...航生くんの硬さも熱も全部...... 俺を欲しがってくれてる事も...俺が航生くんを欲しがってる事も...... 俺の中が、航生くんの形そのものに変わってる。 こんな経験した事ない。 こんなに体全部で相手を欲しがる事ができるやなんて...... 自覚した途端、嬉しさでますます中を締め付けた。 クッと息を詰めると、航生くんのが中で更に大きさを増す。 「ねえ、シンさん...わかりますか?」 答えるまで許せへんみたいなその声に、俺は枕から顔を上げて腕を懸命に突っ張ると、カクカク下手くそに頷いた。 「わか...る...熱い...すごい硬い......」 「もっともっと俺のに集中してください。もっともっと俺の熱を感じてください......」 吐息混じりで吐き出されるその言葉は、航生くんの興奮を表すようにちょっと掠れて震えてる。 それがまた俺の欲を煽ったんか、俺を貫く航生くんのをきつく締め付けてもうて、瞬間的に雷にでも打たれたんかってほどの快感が走った。 カクンて腕が折れ、俺の顔はまたポフンて枕に埋まる。 そんな俺の首筋に唇が触れて、強く吸い上げられた。 「ンッ...フッ...ファァッ......」 航生くんは動いてもない。 けど俺の体が勝手に動いてもうて、声が段々と抑えられへんようになる。 不意に、俺の声を吸い込ませてた枕が目の前から消えた。 一瞬わけがわかれへんかったけど、俺の顔の横に航生くんが手を着いてきた事で、どうやらその手が枕を放り投げてもうたんやってわかる。 ......ど、どうしよう...声、出てまう...聞かせてまう... 内心焦る俺の事なんかお構い無しで、航生くんの腕が俺を締め付けるようにきつく抱き締めた。 そのまま強引に体を引き起こされる。 「俺の、感じてくださいね......」 アカンと小さく首を振る俺の事なんか目に入れへんと言わんばかりに抱き締める腕に更に力を込めると、航生くんはソロソロとゆっくり腰を引いた。

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