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フィクションの中のノンフィクション【31】

唇の端からツッて溢れた唾液を綺麗に舐め取った航生くんの舌が、そのまま俺の耳へと移動する。 耳はちょっと苦手。 こしょばいのがどうしても我慢できへんから。 そんなんわかってるはずやのに、悪戯な舌は耳の裏側からゆーっくり耳殻を辿って、軟骨のとこを少しだけカリッて強めに噛んでくる。 ピクピクッて自分でもわかるくらい体が跳ねて、意識せんまんまに航生くんの下から這い出そうと腕を突っ張ると、その腕を取られてしっかりと指を絡められた。 両方とも外れへんように繋がった手を頭の上で押さえられ、航生くんは尚もそこへの口撃を止めてくれへん。 カリカリってかじっては唇でフワフワ挟み、孔の中に舌を捩じ込んでくる。 「うぅん...航生くぅ...ん...それ、イヤぁ......」 「慎吾さんが教えてくれたんですよ? くすぐったいのと気持ちいいのは紙一重なんだって」 面白そうに航生くんがクスクスと笑うたびにフッと空気が揺れて、それにすら身を竦めた。 確かに...それを教えたんは俺やったかも。 ひたすらくすぐったがってた脇の下を、脚の付け根を吸い舐め回して、『それは気持ちのええ証拠や』ってチンチンが勃つまでにした。 あれは一緒に暮らしだして1週間くらい経った頃やったやろうか。 ただそれは仕事をする上で、快感に対しての経験があまりにも浅かった航生くんに『こんなセックスもある』って教える為やった。 ......いや、まあ勿論...綺麗な顔に綺麗な体の航生くんが、快感か不快感かもようわからんと戸惑ったまま体を震わせてるって事自体に興奮したんは間違いないんやけど。 痛みもくすぐったさも痒みも、それを与える人と解放されるタイミング次第では強烈な快感に変わるんやで...あの時そう教えた事をちょっとだけ後悔してる。 耳への刺激はほんまにくすぐったくて、せえけどやっぱり俺の体はそれを快感やと受け止めてて、ズクズクとチンチンが疼いてるから。 笑ってる航生くんの思うまんまに体が反応してもうてる自分がちょっと悔しい。 そら、今の俺が航生くんの愛撫に抵抗できるわけなんて無いんやけど。 「航生くん...嘘つきぃ......」 掠れる声を隠したくて唇を噛むと、ようやく航生くんの舌が止まった。 「嘘つき?」 俺の大好きな声が直接鼓膜を揺らす。 堪えきれず、思わず背中が大きくしなった。 「あっ、やっ...ん......」 「俺、何か嘘つきましたか?」 「そ...んなん...今日は...めっちゃ甘やかして...くれるって...はぁん...さっき...言うたやんっ......」 「だからこんなに優しく丁寧に可愛がってるじゃないですか」 「だってぇ...そんなん...耳苦手やのに...んふっ...あぁっん...耳ばっかりぃ...んっ」 クスクス笑ってた気配が、ニヤニヤッて感じに変わった。 ようやっと耳許から顔が離れてホッとした俺を見下ろすようにして、航生くんがオモチャ見つけた子供みたいなキラキラした目を向けてくる。 「もう耳は嫌?」 「うん」 「じゃあね、次はどこをどうして欲しいのか、ちゃんと教えてください」 無駄に男前な顔で、無駄に爽やかな顔で航生くんがニッコリ笑う。 「そんなん...言わんでもわかるやん。それに、航生くんがやりたいようにやってくれたら......」 「じゃあ今日は、耳だけでイッてみますか?」 絡めてた指をほどいて俺の顔をそっと押さえると、航生くんの顔がまたゆっくり下りてきた。 動かされへん頭で、それでも目一杯首を横に振る。 「そ、そんなん無理に決まってるやん!」 「無理? ほんとに?」 「当たり前......」 「そうでもない...みたいですよ?」 航生くんの腿が俺の中心を押し込むみたいにググッて動く。 そこは間違いなく硬く熱くなってて、航生くんの脚を跳ね返すように抵抗して見せた。 ほんのちょっとやけど、ニチッて粘っこい音も響く。 「時々こうして刺激しながらなら、耳だけでも十分イケそうな気がしますけど」 「い、イヤや...そんなん...カメラの前で耳だけでイッたりすんのん...イヤ......」 「ふぅ...うん、確かにそうですね。俺も、俺に触られるとこならどこでもイケるようになっちゃった慎吾さんをみんなに見せるのはちょっとだけイヤかも。じゃあ耳は今度にしますから、次はどこをどうして欲しいですか? 乳首1時間くらいかじり続けましょうか?」 どうしても俺に、されたい事を素直な言葉で聞きたいらしい。 航生くん、意地悪や...結局最後はめっちゃ優しいってわかってるけど。 一回だけ小さくため息をつくと、頭を押さえてたまんまの右手を取った。 これ以上意地悪をする気は無いみたいで、それはいとも簡単に俺の思う通りに動く。 少しだけ首を傾げてそれこそ『甘える顔』を作ると、俺は航生くんの右手を自分のチンチンに押し付けた。 「乳首チューチューしながら、チンチンもヨシヨシして?」 「......あざといくらい可愛い。慎吾さんのお願いとあらば喜んで。今日はそうやって、いっぱいおねだりしてくださいね」 浅黒い肌が、全身を使って俺の肌を撫でていく。 航生くんの動き全部が愛撫になる。 それだけでちっちゃい乳首がプクッて膨れていくんがわかって...別になんもされてないのに全身にザワザワって鳥肌が立って...ちょっと恥ずかしいなった俺はキュッて目を閉じた。

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