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フィクションの中のノンフィクション【32】

航生くんの唇がゆっくりと首筋を滑り、一回鎖骨をジュッて吸い上げるとそのままもうちょっとだけ下がっていく。 そこに何も触れるはずは無いのに、なんでか俺はその鎖骨の表面を指先で撫でた。 ......はぁ...なんかこれ...好き... 今指で触れてるとこには、たぶん航生くんの付けてくれた強い独占欲の証があるはず。 普段はお互いに仕事があるから絶対に付けられへん。 それが許されるんは1週間弱俺の絡み仕事が無い時だけ。 その期間の俺は航生くん一人だけの物...... 仕事が嫌いなわけやない。 せえけどやっぱり...俺は航生くんだけの物でありたい。 それが許された時間だけの、大事な大事な印。 「航生くん......」 いざ胸元に吸い付こうとしてた航生くんは動きを止め、俺にフワッと笑いかけてくれる。 「はい?」 「ここ......」 鎖骨をなぞり続ける指先を見つめてますます嬉しそうな笑みを浮かべると、航生くんの唇がゆっくりと戻ってきた。 「痕、付いてへん?」 「付いてますね、クッキリ。すいません」 それほど悪いとも思うてへんような口調で言葉だけ謝ると、戻ってきた唇が俺の指ごとそこを吸い上げ、ペロペロと舌で擽ってくる。 犬とか猫なんかが、傷を舐めて治そうとしてるのを思わせてちょっと面白い。 「めっちゃ嬉しいけど...そんでもどうしてくれんのん? これでこの痕消えるまでは、俺航生くんの前でしか裸になられへんやん。責任取ってもらわなあかんよね」 「そりゃあもう、全身全霊で責任取りますよ。なんなら毎日どっかにこうして痕付けて、一生俺の前でしか裸になれないようにしちゃいましょうか」 「......それが許される時がきたら...ほんまに毎日付けてな? これ、航生くんの気持ちいっぱいぶつけてもうてるって感じがしてめっちゃ幸せやねん......」 「じゃあ今日はいっぱい付けましょうか? 全身どこ見ても俺だらけってくらい......」 そんな囁きだけで体も心も震える。 嬉しいて泣きそうな代わりに、俺は航生くんの指を取ってカリッて噛んだ。 それが合図みたいに航生くんの頭はまたゆっくりと下りていく。 口許の指はずっと俺の唇をなぞり摘まみ、時々口の中まで入ってきた。 右手は更に下まで伸ばされ、俺のチンチンをキュウって握る。 その瞬間に航生くんの手のひらがやけにスムーズに動いて、俺のんが思ってる以上にヌメってるんやって気づいた。 唇とチンチンに意識が向いてる間に胸元まで下りてきた航生くんの唇。 乳輪ごとその唇が包み込み、チュウと強く吸いながら舌が乳首をクニと捏ねてくる。 舌先で潰すみたいに押し込んだかと思うと、今度はコロコロと転がして軽く歯を当てる。 元々体は風呂場で目一杯興奮してたわけで、チンチンの頭から根元までを手のひらでゆったりと撫でながら乳首吸われてるだけでジーンて背中を電気が走った。 航生くんの手の中の物を自分でちょっとずつ揺らしながら、もっともっとって快感を求めてしまう。 「慎吾さん、右の乳首が寂しそうですよ。ほら、自分でグリグリしてください」 「んっ...やぁん...っ...そんなん...できへん...って......」 「そんな事言って、俺にはさせたくせに。ほら、こっちのプックリ育ってきた乳首とおんなじくらいになるまで自分で可愛がって。上手にできるまで、これ以上はお預けです」 「やだっ、航生くっ......」 これ以上の反論はいらんて事なんか、開いた口に航生くんの長い指が2本グジュって入ってきた。 相変わらずユルユルと撫でられるだけのチンチン。 きつく吸われ噛まれ、捏ねられる乳首。 そこに加えて、入り込んできた指は俺の舌の表面を擽りその指の間に挟んで扱く。 上に与えられる強い刺激に対して、一番それを欲しがってる場所には腹が立ってくるくらいに緩い刺激が続く。 我慢できへんで自分で腰を振ろうもんなら、航生くんはパッて手を離して俺の快感を塞き止めた。 せえけど、ちょっと体を動かしただけで俺の腿には雫が飛び散るくらいまで昂ってる。 早よここにも刺激が欲しいねん! 意地悪な航生くんに反撃の一つでもって指に噛み付いたろうと思うたら、そんな俺の気持ちはお見通しやったみたいで2本の指を縦に突っ込まれてしまう。 太い節がつっかえ棒みたいになって、今度は口を閉じる事もできへんようになった。 「もっと気持ちいい事したいでしょ? 俺も早くしたいです。だから...ね? 可愛く乳首摘まんで俺に甘える姿見せて?」 口内に溜まる唾液を必死に喉の奥へと流しながら、俺は渋々自分の指で乳首に触れる。 まだ小さい粒をキュッて強めに摘まみ捻ると、満足したみたいに航生くんの指はゆっくりと出ていった。 せえけどそれは俺を解放して楽にしたろうって意味やない。 快感に震え、自分の欲求を素直に言葉にする俺の声をハッキリと聞く為やった。

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