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フィクションの中のノンフィクション【36】

俺の中が、航生くんの長うて節くれた指でいっぱいになる。 痛いんとはちょっと違う...苦しいのんともちょっと違う...... 昔は挿入に移る為に必要な、どっか『仕方ない』行為って気持ちやった。 勿論嫌なわけやないし、ちゃんと気持ち良くはなれるから特別苦手ってわけでもないんやけど、どうしてもそれは異性間でのセックスとは違って『愛撫』というより『準備』の意味合いが強いから。 せえけど航生くんとのセックスを覚えてからは、この『慣らす』って行為が大好きになった。 そう、痛いわけでも苦しいわけでもなく...これは...満たされてる...... 俺の全部が航生くんを求めて、その気持ちを航生くんが満たしてくれてる。 「辛くないですか?」 3本の指をまだ動かさんように気ぃつけながら航生くんが俺の表情を窺う。 こんな時航生くんは、いっつも少しだけ不安そうな顔をしてる。 せえけどここで止めた事は無い。 きっと俺が、あんまり幸せそうな顔してるからやろうと思う。 目が合うとホッとした顔で、ちょっと照れたみたいに笑うから、なんかますます幸せな気分になった。 俺は少し萎えてもうてる自分のチンチンを袋と併せてやんわり揉む。 もう粘膜が指の感触に馴染んできてるからか、そこが硬さを取り戻すんはあっという間やった。 それに気づいたらしい航生くんは、ゆったりとした動きで中を擦り始める。 ちょっと滑りが悪いと感じたんか、指をググッて開いてポンプのオイルをそこにプチュッて足してきた。 熱い襞の中に、航生くんの指を伝った冷たいオイルが流れ込んでくる。 思わずキュッて力が入ってもうて、航生くんの指の形がハッキリと伝わってきた。 もうすっかり硬なったチンチンの根元をまたしっかりと握り次の刺激を待つ。 航生くんがユルユルと指を動かす。 その動きはさっきよりずっと滑らかで、ゾクゾクする感じがそこから背骨を這い上がってきた。 「んっ...はぁ...っ......」 口から出るはずの息は鼻へと抜け、気持ち悪いくらい甘ったるい吐息が自然と漏れる。 ただ中を擦るだけやった単調な動きは、俺のその吐息を待ってたとばかりに捻りを加えた複雑なモノに変わった。 入り口を広げるだけやなく、粘膜全体をを航生くんの指の太い節が不規則に捏ねる。 ほんまに航生くんのセックスは最初の頃から変われへん。 決して特別上手いわけやない。 ただとにかく俺の求める物すべてに気付いて、すべてを満たしてくれる。 航生くんの体のパーツ全部が俺を悦ばせる為にあるように思える。 あの大きいて太いチンチンは勿論やけど...この節の張った指にしたってそう。 徐々に大きく大胆に動かされるその指が、時折前立腺に触れる。 わざわざ押し潰すほどの力を加えんでも、この指の動きと関節から与えられる刺激だけで俺のそこはたぶんパンパンになってるはずや。 チンチンをしっかり握って我慢してなかったら、もうこれだけでイッてまうと思う。 一気にその先端は真っ赤に膨れ上がり、またボトボトボトッて止まれへん先走りが溢れだした。 「あぁっ...んっ...航生...くん......」 「止めますか?」 言葉とは裏腹に、指を激しく動かし続けながら航生くんが答える。 俺は枕に額を擦り付けながら小さく頭を振った。 「アカン...止めたら...アカンの...ちゃうねん、止めて欲しいん...ちゃうねん......」 「じゃあ...何?」 「あん...な? 俺、ちゃんと...はぁっ...あん...チンチン押さえ...とくからぁ...っふぁ...せえからぁ...あぁん...イカせてぇ...航生くんの...指だけで...イカせて......」 ほんの一瞬だけ航生くんの動きが止まる。 けどそれはほんまに一瞬で、次の瞬間には俺の体がゴロンてひっくり返されてた。 その衝撃だけでイッてまいそうになって、慌ててまたギュッてチンチンを握る。 「どんだけ可愛い事言ってくれるんですか! あーっ、もうっ...こんな可愛い慎吾さん、ほんと誰にも見せたくなかったのに......」 髪をガシガシってかきむしったかと思うと、いきなり噛みつくみたいなキスをしてくれた。 ベロも絡めるんなんかめんどくさいって感じで、痺れるくらいに強うに吸い上げられる。 息ができへんからなんか、やっぱり航生くんが好きすぎるからなんか、そのキスだけでもうイッたみたいに頭の中はぼんやりしてきた。 「俺に見られながらの方がイキやすいでしょ? ちゃんと俺がチンコ握っててあげますから...思う存分イッてください」 俺のベロを解放すると、ニッて笑いながらチンチンから俺の手を離させた。 代わりに航生くんがそこをしっかりと左手で戒めると、中を抉る右手の動きはこれまでの比ではないくらいに激しく大きくなる。 航生くんに全てを任せると俺は安心して体を仰け反らせ...そしてピクピクと痙攣させた。

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