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フィクションの中のノンフィクション【40】
昂っては抑え、追い上げられても堪え...ようやくその時が訪れたからなんやろうか。
航生くんに一気に貫かれた衝撃で溢れだしたザーメンは飛び散るほどの勢いもなく、でもいつまでも止まる気配も見せへんとトプントプンて流れ続ける。
チンチンがドクドクするんに合わせて、トプン...トプン...て。
「あ...あぁ...っ......」
だらしなく半開きになったままで閉じられへん口からは、声にもなってないような変な呻き声しか出てけえへん。
そんな俺を優しい顔で見下ろしてる航生くんは、奥深い所に欲を留めたまま身動ぎ一つせんかった。
長い長い射精で敏感になりすぎてる俺を気遣ってくれてるんやろう。
そう、これも航生くんとのセックスで初めて知った事...あまりにも強すぎる快感は、苦痛と紙一重なんやって。
最初の頃の航生くんは加減てもんがわかれへんかって、ペースもなんも無いまんまでひたすら俺に快感を与え続けてた。
なんでも、航生くんよりもはるかに経験の多い俺を一瞬でも飽きさせたらあかんて思ってたらしい。
それでもまあ、そのセックスが常に射精を伴うもんなんやったら、正直別にかめへん。
ビデオの撮影してる時なんかやったら、最初から最後まで相手のペースなんて考える事もなく、ずっとフルスピードで突っ走ってるようなもんやし。
どんだけ触られても舐められても擦られても、疲れてきたら勃ちが悪うになるだけで、出すもんが無いなったらそれで終わりや。
射精のたびに快感はある程度リセットされるし、それを促す為の激しい愛撫を受けるのは疲れるだけで苦ではない。
ただ、俺と航生くんの体の相性は良すぎた。
俺の感じる場所と航生くんのチンチンの大きさや硬さ、そして角度がとにかくピッタリ合いすぎる。
航生くんに入れられれば、俺は射精もしないままあっさりイケてしまうのだ。
で、このいわゆる『ドライオーガズム』ってやつが問題で、射精を伴わない分何度でも繰り返す事ができる。
それも一回そこに到達してしまうと、快感はリセットされないままでどんどん蓄積されていく。
次のオーガズムを迎えるまでの時間はどんどん短くなるし、ほんの少しの快感にも体は耐えられへんようになる。
そのうち、口を閉じる事もできへんまんまヨダレと涙が駄々漏れになり、なんもせんでもイキっぱなしになって......
白目剥いて痙攣したまま失神したんは、一度や二度やない。
気持ち良すぎて怖いとか、このまま死んでまうんちゃうかとか、そんな風に考えたんも一度や二度やない。
それでも最初の頃の航生くんは俺がイッてようがイッてなかろうが、常に俺が一番感じる場所を一番感じる力で攻め続けた。
激しすぎて意識が朦朧としても怖いと涙を流しても、それは俺がただ悦んでると思い込んでたらしい。
俺も、航生くんが意地悪しようとしてるわけやないってわかってたし、気持ちええって思ってるんはほんまやったから、終わってからもそれを伝えるような事はせえへんかった。
まあ何回か同じ状態を繰り返した事で、さすがに俺の流してる涙に愉悦だけやない、恐怖心の涙が混じってるって気付いて真っ青になってたっけ。
まあ、しゃあないと思う...航生くんは快感を知らんかったんやし。
ましてや自分とのセックスで、相手が恐怖を感じるくらいオーガズムを繰り返してるなんて考えてもなかったんやろう。
それからはちょっと加減してくれるようになった...と思う。
ゆっくり時間かけてセックスするときは先に俺を射精させて少し興奮を抑えるとか、中イキしてる時は落ち着くまでできるだけ刺激を与えんようにするとか。
もっとも、結局最後は大抵イキっぱなしになって意識なんかほとんど無くなるし、ちょっとイライラしてる時とかはわざとガンガンに攻めてきて白目剥いててもお構いなしで腰振ってたりもするけど。
今日は俺が射精を我慢しすぎてたせいで『トコロテン』なんて状況やから、そらもう体の震えとか半端やない。
ついでに疲れも汗も普段の比やない。
せえから航生くんはできるだけ刺激せんようにじっとしたまま、ただ優しい目で俺を見つめてくれてた。
「ちょっとだけ動きますね?」
「あ...航生くん、まだあかん......」
「大丈夫ですよ、そういう事じゃないですから」
そーっと手を伸ばした航生くんはタオルを掴むと、俺の下腹にそれを乗せた。
ちょっと萎れた俺のチンチンを指でヒョイて上げると、臍から下にたっぷり溜まったザーメンを丁寧に拭ってくれる。
「ごめん...なんかいっつも...ごめんな?」
「ん? ごめん? 俺とセックスしてこんなに盛大にイッてくれてるんですもん、嬉しくて仕方ないですよ?」
「せえけど、またそうやって俺のん拭かせてもうてるし......」
「またぁ、そんなくだらない事気にする。あのね、俺まだまだ全然足りないから、今からもっとガンガンいきますよ? 思いきり抱き締めますよ? でもここにミルク溜まったまんまだと、今度は『汚れるから』なんて気にしちゃうでしょ? 俺は何にも気にしないけど、慎吾さんは気にするじゃないですか。だから先に拭いてるだけですよ? せっかく慎吾さんが出した物なんだし、ほんとなら舐めて綺麗にしたいとこなんですけどね~」
「こ、航生くんの変態!」
「慎吾さんだって、俺の出したザーメン『美味しい』って飲んじゃうじゃないですかぁ。俺ら変態同士だ。お似合いですね」
二人で顔を見合わせてクスクスって笑う。
腰から下の強張ってるみたいやった力が抜けてきたんか、少し笑ってみてもその振動で航生くんのを締め付けるような事はなくなってた。
それに気付いたんか、俺を見る航生くんの目付きが変わる。
タオルを足元に放り投げるとゆっくりと体を倒し、俺の顔の両側に手を着いた。
「慎吾さん...いい?」
「......うん、ええよ...もう大丈夫やから...きて」
航生くんの形のええ唇が下りてくる。
優しくも激しいキスを甘んじて受けながら、俺は脚を航生くんの腰にしっかりと絡ませ、そこをぐいと引き付けた。
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