32 / 95
そんなこんなのおいしいはなし 4
「……じゃあ、口使うのと挿れるのはなし」
ぷいと顔を横に向けてしまうアヤが、可愛くてしょうがなくて、リョウの口角が上がる。自分よりもそこそこ年上で、基本無愛想、無表情。なのに、可愛いって何。リョウ自身もよくわからない。
今も、結局しぶしぶリョウの要求を受け入れ、それが悔しくて、そっぽ向いてしまっているアヤに、可愛いという言葉が何度も何度も脳内を駆け巡る。
「口使ってもあかん、挿れるのもあかんって言うたら」
ゆっくりと、リョウがアヤに覆いかぶさってくる。そのタイミングで、当たり前のように唇を重ね、舌を絡め合う。それだけで二人の動悸は激しくなり、熱い吐息が漏れる。同時進行でリョウは片手でパンツのジッパーを下ろして、さらにボクサーパンツのボタンも外し、さっきから窮屈になっていた熱いものを器用に取り出した。続いてアヤのベルトが外れる音がして、リョウのと同じくじゅうぶん熱く火照った昂りが外気に触れる。リョウの手に触れられて、より一層硬さが増した。そして、二本いっぺんに握り込む。
「リョウ……ほんとにそれ、好きだね」
アヤが力なく笑う。
「アヤが教えてくれたんやん、こんな気持ちいいこと」
蕩けきった瞳でにんまり笑うと、リョウは握る力を強め、一定のリズムで上下させ始めた。アヤはリョウの肩に顔を埋め、時折小さな呻き声を上げている。それがリョウには面白くない。
「アヤ」
呼んでみても、返事もなければ体勢も変わらない。顔を見せて、声を聞かせてほしいのに。
業を煮やしたリョウは無理やりアヤを引き剥がして、唇に食らいついた。大きく口を開かせ何度も角度を変えて、口の中を余すことなく荒らしながら、手の速度も上げた。アヤの眉根が寄る。
「アヤ、気持ちいい?」
「そういうこと、なんでいつもいちいちきくわけ」
「なんや、まだ余裕あるんか」
少し口を尖らせて不満そうな顔をした後、リョウは密着していたアヤから離れた。アヤが不思議に思っていると、リョウはアヤの足元へ移動し、脚の間に身を置いた。
「っ、何して」
「デザート」
ともだちにシェアしよう!