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馴れ初め その2
山岡真尋。21歳。日本の大学に通う大学3年生。
短期留学には、去年の夏休みにやってきた。
大学に通う前日、真尋は酒に酔った勢いでゲイバーに迷い込んでいた。
絡まれそうになっていた所を助け、自分の家で介抱しようとした。
けど、真尋は酔うと誘い癖みたいなものがあって、私も誘惑されてしまい、好きになってしまった。
真尋は全くその時のことを覚えていなかったため、一時は諦めようとしたが、真尋の熱烈な告白でもう一度恋をしてみようと思い、遠距離ではあるが、付き合っている。
ちなみに、真尋には私がいない時に酒を飲むことは禁止している。
うっかり、他人と間違いがあってはいけないからな。
蕎麦屋に入ってからも、真尋は色々な話をしてくれる。
毎日電話で話をしているが、それでも話は尽きないらしく、一生懸命話をしてくれる。
そんな姿も可愛い。
『それで、その友達がバイトを紹介してくれて、お礼にコテージを使わせてくれることになったんだ』
『へぇ……どんなバイト?』
『バイトっていうより、ボランティアみたいな感じだったんだけど……教会で子どもたちに英語の絵本の読み聞かせをしたり、その絵本を翻訳したり……』
『すごいじゃないか。いい経験になったんじゃないか?』
『うん。俺、子ども好きだし、皆喜んでくれた。何より翻訳って初めてだったから、新鮮だったよ』
まだ21歳。
本人は確固たる目標みたいなものが欲しいと前に言っていたが、迷うことも必要だと私は思う。
迷いながら、様々な経験を積むことも大切だ。
迷った先に得た結果は、何ものにも変えがたいことを、私は知っている。
真尋のことも、たくさん迷ったが、愛し抜こうと決めた。
蕎麦屋を出て、電車に乗った。
山の上にあるコテージで、キャンプができるらしい。
初めははしゃいでいた真尋だったが、疲れたのか私にもたれ掛かるように寝てしまった。
車窓に映る景色もビル街から、郊外に向けて走り、いつしか山の景色になっていった。
日本の山は美しい。
私には日本の血も混じっているため、余計にそう思うのかもしれない。
目的地まで、まだ一時間くらいかかるようだ。
愛しい人の寝息を聞きながら、シンポジウムの資料を読んだ。
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