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予定は山積み

どれくらい時間が経ったんだろう。 外はすっかり真っ暗だ。 隣を見ると、シンがいた。 長い指で、俺の髪をいじっている。 「シン……起きてたの?」 「うん。真尋を見てた」 「ふふ……何それ。もう、すっかり夜だね」 「そうだな」 俺は窓の外を見た。 寝室の窓からは星空が見える。 広いテラスみたいなベランダもあって、外に出られるらしい。 「あーあ……一日目終わっちゃったな」 「ん?」 「この調子だと、三泊四日なんてあっという間だよ……」 泊まりの旅行は始める前は楽しみで楽しみで仕方なかったし、始まってからもすごく楽しいけど、これが永遠に続くものじゃなくて、終わりがあることってことを考えてしまう。 「もう旅行の終わりのことを考えてるのか?」 「考えちゃうよ……あと三日したら、シンは講演会に行って、それからイギリスに帰っちゃうでしょ?」 「……じゃあ、感傷に浸っている真尋に旅行の最終日にプレゼントをあげよう」 「あ、そうだ!プレゼントって何?俺、何にも用意してないよ?」 「私にとっては、この旅行がプレゼントだ。私からのプレゼントは最終日のお楽しみだ」 「お楽しみかぁ……なんか、最終日が待ち遠しくなってきた」 本当にシンは俺を楽しみにさせたり、喜ばせたりするのが上手い。 さっきまで、沈んでいた気持ちがワクワクに変わった。 「明日は何するんだ?……一日コテージでゆっくりする?」 俺の髪を撫でるシンの声が色っぽくなる。 けど、俺は甘い雰囲気になるのを「待って!」と止めた。 「明日は、やることがたくさんあるから!」 俺は部屋に置いてあったカバンから手帳を取り出す。 そこには、旅行の計画が書いてあるんだ。 「これは?」 「明日は、山登りをして、山頂近くにある温泉に入りに行きます!それから、お昼はその近くのレストランでご飯食べて、夕ご飯はカレーを作って、夜は花火する予定だから!!」 「……すごい。予定がびっしりだね……」 シンは少し呆気に取られてるみたい。 俺、はしゃぎ過ぎ? 「……シンは、やっぱりゆっくりしたい?」 「いや、最近体がなまってたから、ちょうどいい。それに日本の温泉にも久々に浸かりたかった。真尋プロデュースの旅行なんだ。楽しまないとね」 「うん!」 シンとの思い出、いっぱい作りたい。 明日も楽しみだな。

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