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第2話
触ってもいい、不意打ちのキスも拒まれない、でも「愛してる」ということは許さない。
今のナオはそんな空気を纏っている。
自覚しているのかしていないのかは謎だが、「愛してる」と幸太郎が言うと、笑顔が消えて虚空を見るような目をし、表情が動かなくなるのだ。
もちろん、幸太郎がナオと付き合い始めてから、「愛してる」などと言われたことはない。
そもそも「好き」とも言ってもらっていないのだから、多いに不満だ。
幸太郎は仕事の疲れも忘れ、ナオを寝室に引きずり込むと、有無を言わせず覆い被さる。
「ホントに俺なの、幸太郎……?」
「イヤなのかよ?」
「そうじゃないけど……なんかバカみたいだね、俺達」
「『バカみたい』なんじゃなくて、『バカ』なんだよ、主に俺が」
ナオのスウェットの下に手を這わせ、下半身を捉えれば、少し膨らみかけている。
きっとさっきのディープキスに反応したのだろう。
幸太郎はそのまま下半身のスウェットをパンツごと脱がせると、自分のバックルを緩め、スラックスのジッパーを下ろし、ボクサーパンツの中で硬くなっていた一物を取り出す。
それを扱きながら、ナオの後孔を解しにかかる。
「あ、あぁんッ……、こ、こうたろ……俺、風呂入ってない……」
「安心しろ、俺もだ」
後孔に這わせた指を内側でくの字に曲げたり、前立腺を擦ってやれば、ナオの喉から艶めいた喘ぎばかりが発せられ、ベッドしかない室内にBGMを与えてくれる。
「終わったら、一緒に風呂入るか?」
「ん……じゃ、ゴムしなくていい」
セーフティーセックスを心掛けている幸太郎とは違い、ナオは薄さコンマ数ミリのコンドームの装着を嫌う。
たとえ肌に密着するタイプのものでも、幸太郎に抱かれていると実感するには、ナカ出しの後に事後処理をする方がいいのだそうだ。
「ったく、あんまり煽るなよ」
そう言えば、しばらくご無沙汰していただろうか。
そうだ、ここ数日間幸太郎の帰宅が夜10時を過ぎていて、ナオは辛うじて食事には付き合ってくれていたが、いつも先に眠ってしまっていた。
それに幸太郎も疲れ果てていて、セックスのことなどすっかり頭から吹き飛んでいた。
「あぁッ……熱い……おっきい……」
幸太郎の熱が挿入されるなり、ナオはベッドの上で思い切り背を反らす。
いきなり根元まで挿れられたことで最奥を突き上げられ、とろんとした目で幸太郎を見つめる。
そして幸太郎もまた、ナオのこういう顔に弱く、細い腰を両手で掴んでキスを落としながら抽送するのだった。
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