ナオの後に幸太郎がバスルームを使い、2人はダイニングテーブルを囲んだ。 それぞれのランチョンマットの上には、ハンバーグとライス、小さなサラダとスープが置かれている。 2人共家ではほとんど酒を飲まないので、飲み物はミネラルウォーターか炭酸水だ。 そして今日の夕食のハンバーグの中には、幸太郎が買った媚薬がそれぞれ1滴ずつ含まれている。 どんな効果をもたらすのかが分からず、まずは少量から試してみることにした。 「幸太郎の手料理食べるの、久しぶり……」 ハンバーグをナイフで切って口に運ぶと、ナオは破顔した。 「俺も、料理したの久しぶり。いつも悪ぃな、お前にばっかり作らせて」 「いいよ、そんなの。俺、料理嫌いじゃないし」 なるほど、やはり1滴くらいでは味に影響はないのかと、幸太郎はハンバーグを食べ進んでいく。 だが、そうしているうちに体内がじわりと疼くことに気が付いた。 どうしよう、もう食べていたくない。 身体の中の疼きを、今すぐ解消したくてたまらなくなる。 「ナオ、お前、体調は大丈夫か？」 幸太郎より小柄なナオは、既に頬を真っ赤に染めていた。 「体調っていうか……早くシたい……俺、思ってるよりもずっと幸太郎に飢えてたみたい……お風呂で解したりして……」 「は……？」 何だか今とてもレアな台詞を聞いた気がする。 「お風呂で解した」と言っていただろうか、それはまさかアナルを自分の指で弄ってきたということだろうか。 幸太郎が問うと、ナオは真っ赤な顔で頷き、俯いた。 「どうしよう……折角好物を作ってくれたのに、幸太郎が欲しくなってて……」 幸太郎は媚薬のことを告げるかどうか迷ったが、とりあえず黙っておくことにした。 媚薬以前にナオは後孔を自分で解してきたというのだから、その事実の方に興奮させられる。 「ナオ、寝室へ行こうぜ」 「ん……ホントにゴメン……」 「あっため直せば食えるんだから、気にすんな」 それにしても、媚薬とは怖ろしい。 幸太郎もナオもまだハンバーグを食べきっていない──、つまり媚薬1滴分を食していないにも関わらず、臨戦態勢なのだから。 一方で気になるのは副作用だ。 あの媚薬の売り文句を信じるなら、意地を張っている人間は強い吐き気などに襲われるとあった。 愛してる──。 幸太郎にしてみれば、ナオからその台詞を引き出したいがために買ったような媚薬だ。 それでもナオが口にすることを拒んだら、強い副作用で辛い思いをさせてしまうのだろうか。