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第16話
狂わされていく。
ナオの白い肢体が幸太郎の視覚を犯しているように感じるのは、本当に媚薬だけのせいなのだろうか。
否、そうではないだろう。
何度も幸太郎に抱かれたことによって、色気を引き出されている部分もあるはずだ。
幸太郎はようやく根元まで挿入を終え、額に滲んだ汗を手の甲で拭った。
「ふぅ……」
「ふふ」
「ん?」
「幸太郎がさ、俺に挿入して『これから動くぞ』っていう前に深呼吸する顔、好き」
そんな些細な表情まで観察していたのかと、幸太郎はナオの新たな一面に驚いた。
ちなみにどんな顔をしているのかと問うと、ナオは言いたくないと言う。
「違う……言いたくないんじゃなくて、どう表現していいか分かんないんだ……でも、すごく色っぽい顔だよ。この人にシてもらうなら、文句ナシって感じになる」
「お前が俺の表情について語るなんて、初めてじゃねーの?」
「そう……かも。なんで言おうと思ったんだろ?」
もしかしたら、媚薬の効果かもしれないと幸太郎は思った。
そして、この調子なら「愛してる」と言ってくれるかもしれないという望みも心の芽生える。
「ナオ、動くぞ」
幸太郎は腰を激しく打ちつけ始めた。
「あ、あぁぁぁんッ……はぁ、ぁん……」
いつも以上に激しい喘ぎ声。
お隣に聞こえてしまうのではとも思うが、別にそれならそれでいい。
幸太郎にとって一番大切なのは、世間体ではなくナオという存在そのものなのだから。
前立腺を狙って突いても、最奥を突き上げても、ナオはベッドの上で背を反らす。
それだけではなく、萎えた性器から白濁を垂れ流しており、幸太郎は布団の上に落ちないよう、突き上げながらティッシュを取って拭ってやる。
「ひ、ぁん……こうたろ……はげし……ッ……」
「こっちもブレーキが利かねぇんだよ……」
いつもの余裕が奪われている。
組み敷いたナオの表情を観察できない、感じているであろうナオの性器を握ってやれない、そして腰の動きが止まらない。
この感覚を、幸太郎は知らない。
媚薬のお陰だというなら、二度と使うものかとも思う。
こんなのはセックスじゃない。
ただ獣が粘膜と粘膜を擦り合わせているようなものだ。
折角ナオが自分でアナルを解してまで誘ってくれたのに、どうして媚薬を使ってしまったのだろう。
幸太郎は悔いの残る胸中でもって、ナオの後孔を何度も何度も穿ち、穿った分だけ絶頂を迎える。
ナオも同じだった。
突かれる度に精が迸るのを止めることができず、イきっぱなしだった。
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