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第17話

ゆらゆらと揺らめく意識の中で、ナオは自分で解すとこんなにも気持ちがイイ感覚を味わうことができるのかと、驚き半分嬉しさ半分で考えていた。 「あ、あ……幸太郎……す……ッ!?」 腰を掴まれて抽送されているナオは、思わず「好き」と言いそうになったところを堪えた。 何だろう、今自然にその言葉が口から出そうになった。 いつもなら言わないようにと警戒しているのに、警戒心が外れてしまったような感覚だ。 「何だよ、ナオ?」 「んッ……何でも……ないッ……ぁんッ……」 一方で幸太郎はナオが「好き」と言おうとしたのではと疑う。 そもそもあの媚薬は肉体的に繋がり合う2人の、気持ちまでもを通じ合わせるために作られたのだと、説明書に書いてあった。 「ナオ……」 幸太郎は快楽に喘ぐ恋人に、ある願いを胸に秘め、上体を傾けてキスを落とす。 頼むから、「愛してる」って言ってくれ──。 媚薬の効果は一晩で消えた。 翌朝目覚めた2人は、「昨夜は一体どうしちゃったんだろうね」などというピロートークを交わしながら、朝寝を貪っている。 否、正確に言えば起きてはいるが、起き出してはいないといったところだ。 「自分で解すと……気持ちイイのかな……?」 「俺の手は必要ねーってか?」 「そういう意味じゃないよ。でも、俺が解しておいたら、幸太郎は解す手間が省けて……その、すぐ挿入できる……よね?」 まあ確かにその通りだが、解している間のナオの表情の変化を見守っていたい時もある。 そんな時は改めて幸太郎が解してやってもいいのだろうが、そうしてしまったら折角のナオの好意が無になってしまいそうだ。 「ナオ、解したい気分の時はそうしろ。無理な時は俺が解す」 「でも……俺、受け身過ぎない?」 「いいや、守りたくなる」 「え……?」 それは新鮮で鮮烈な言葉だった。 今まで誰からもそんな風に言われたことがなく、ナオは不覚にも涙を零してしまう。 「ナオ、どうした?俺、何か悪いこと言ったか?」 「そうじゃない……『守りたくなる』なんて言われたことないし……なんか、嬉しかったっていうか……」 「俺だけにそう思わせとけばいいんだよ」 「そっか……そうだね……」 何だかくすぐったい気分だが、それはすぐに消えてしまった。 次にナオを襲ったのは唐突な吐き気だった。 「ゴメン、幸太郎……ちょっとトイレ……」 ベッドを下りるなり、スリッパを履いてトイレに駆け込むナオ。 幸太郎は「まさか」という思いでナオの背中を見つめ、拳を握り締めた。

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