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第8話
綺麗に整地された道と色とりどりの花々。手が行き届いているこの敷地がこのコテージのグレードを上げていると感動する。道の脇に海岸に降りる階段がある。
それも目を惹く石畳で立ち止まってみとれてしまった。
先を行く英二さんは幾度と振り返り微笑んでいる。「写メ撮っていいよ」なんて言うからスマホのシャッターを押した。
「楓!お客様だ」
いきなりそう叫ぶと石畳の階段の側から麦わら帽子を被った男性が立ち上がった。
二段を飛ばす勢いで颯爽と現れた男性もこれまた凄いイケメンとその体格から目を見張る。
「いらっしゃいませ、って孝司君ところの!え?嘘!かわいい!孝司君みたいなイケメン想像してた!」
そう言ってその分厚い胸に引き寄せられダイブした。どこへ行っても比べられると不満を持ちながら。
それにしても、ここの人はボディタッチが多いな…そんなことを思いながら、また後でね〜と手を振った楓さんを見送って、また英二さんの後をついてく。
案内されたコテージは海辺が一面見渡せるオーシャンビューで、圭一はわぁぁと声を上げた。
「ここのコテージが一番見晴らしがいいんだ。ゆっくりしてね、鍵は…」
部屋の説明もそっちのけで景色を見渡す。
旅行は毎年何処かに連れて行ってもらっていた。過保護な孝司は出かけると大荷物で、毎回大変な思いをしてきた。全て圭一の為に、そうお気に入りの毛布と枕まで持参するほどだった。
なのでどこに行っても安心していられた。二人の愛情をたっぷりと注がれていたからだ。
「一応の物は冷蔵庫にあるから。欲しいものがあったら言って。それと食事は俺達と一緒に取るようにって孝司が言ってたけど…」
「あの、お願いしてもいいですか?俺、殆ど何も作れないので…」
「オッケー、夕方六時頃からだから適当にきて。さっきのロビーね」
そう言って英二さんは甘い笑顔を振りまき部屋を出て行った。
ここで、一人三日間過ごす。一人になること自体初めてで、そしてここは離島だ。孝司も直もいない。
圭一はここに来ると決めた時ある決意をした。これから先の未来、圭一にとって最も重要なことだった。
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