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第18話

これは夢か現実なのか曖昧なままぼんやりとコテージのベッドで横たわっていた。 だるい身体を頭だけ起こし、窓越しの海辺を覗いてみる。そこには赤く燃えたぎる夕日が水面に移りキラキラと揺れていた。 引力に逆らうことをせず、シーツに引き戻されゆっくりと瞳を閉じた。 身体の怠さはリアルにここで起こったことを現実だと物語っている。 あれは夢じゃない…… 順を追って記憶を遡ろうと曖昧な記憶を辿り始める。 美味しいご飯に、楽しい会話。みんな優しく接してくれる。それにイケメン達が僕を囲んで楽しませてくれる。行ったことはないが情報から得たホストクラブにでも来ているみたいだと舞い上がっていた。 そこからの記憶が曖昧だ。 飲み過ぎるほど飲んでもいないし、酔ってもいなかった、途中までは。 なのにコテージに帰ってきている。海風が頬に触れ、気持ちよく揺られていたことは覚えている。あの匂いは…背負ってくれていたのはきっと英二だ。 甘いくて、でもむせ返るような匂いじゃない、いい香りだった。 英二にキスをされぼんやりとしたまま快感を追い始めたことは覚えている。 初めてキスをした。誰も触れたことのない誰にも触れたことがなかった。ごそごそと手を出し、唇をなぞってみる。 あの柔らかい感触は至極身体を熱くする行為だった。 最初にあった時の英二のオーラは惹きつけられるものがあった。それに酔っていた自分がいると触れた唇は感覚を思い出そうとしている。 優の声が耳を弄る。あの低音ボイスは魔物だった。腰に響く声。あの声に囁かれれば、骨抜きにされてしまいそうな甘く奏でる声。 外見はセクシャルな雰囲気などなかったその風貌が剥がれ妖艶な声に身体が解けていった。 楓の甘いマスクに優しい物言いに絆され、なんの疑いものく惹きつけられた。かれの中に入り奥を目掛けて突き続けた。そして楓の中に射精した。 あの感覚は覚えている。何かに締め付けられ搾り取られるような感覚から吐き出した。堪らない充足感と解放感。人に中に精を放つことはこれもまた至極幸せなものだった。 それ以上に誰かが自分の中に入り、気持ちよくさせてくれるあの感覚は大きな扉を開き、目の前が明るくなったような感覚だった。 そして人の体温とは、どうしてあんなに心地いいのか。人肌が恋しいとはよく言うが安心と安らぎそして与えられる熱をこんなに嬉しいものだとは知らなかった。 まだここまま余韻に浸っていたい。動かせば痛む身体も現実だと喜んでいる。 そんな満ち足りた微睡みの中、圭一は再び夢の世界に沈んでいった。

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