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第3話
店の外に出ると肌寒くて身震いした。
上着を持ってくればよかった…
すごく後悔した。
着信に気づいたのはそんな時だった。
相手は…
分かってる。
吐きそうなくらい動悸がする…
カバンからスマホを取り出した手が震える…
怖い…
だけど、出ないと…
もっと怖い…
「も、もしもし?」
あまりの怖さにどもる。
ーーー 颯斗?今大丈夫か?
電話の相手は彼氏の宮沢隆史 -みやざわたかし- さん。
「あー…あぁ、うん、全然大丈夫。」
彼氏だけど、本命じゃない。
本命はシュートで、彼氏は代わり…
もう中学生くらいからそういう付き合い方をしてる。
だって本命は絶対に手に入らないから…
でも俺は淋しいのは苦手だから…
ぽっかり空いた場所は埋めないと…
ーーー 颯斗、お前、今外だろ?
「え、なんで?」
ーーー 雑音が喧しいから。
「あー…うん、友だちとな、ご飯。」
合コンなんてバレたらどうなるか分からない。
そんなリスクがあるのにノコノコ合コンに行く俺は…
バカだ…
かなーりおバカだ。
救いようもないおバカだ。
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