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第5話

重い足どりでホテルに向かった。 駅の近くにある高級ホテル… 前に一回だけシュートとランチに来た事がある。 上京した日、とりあえず飯にしようってなって、駅前で一番デカいホテルをデパートかなんかだと思って入った。 入った時にはビックリしたもんだ。 あまりに圧倒されて、出るに出られなくなった俺たちは、人生の中で一番高いランチを食べましたとさって話。 それが今じゃ、もう二度と入る事もないと思ってたのにほぼ毎週通ってる。 多分、隆史さんはお金持ちなんだと思う。 じゃないと毎週こんなホテルに泊まれるわけない。 付き合ってるっていっても、隆史さんの事はあまり知らない。 隆史さんは個人的な事を聞かれるのを嫌がるから聞かない事にしてる。 前に一度聞いたら凄く睨まれて、手を上げられた。 隆史さんには、暴力的なところがある。 だからなるべく怒らせたくない。 痛いのは嫌だから… 隆史さんから指定された部屋の前に立った。 心を落ち着かせる… 電話の印象はあんまりよくなかった。 嫌な予感がする… 嫉妬に狂った隆史さんは… 怖い… 俺は一つ息を吐いてノックした。 ドアの前で待ってたんじゃないかって思うくらいすぐにドアが開いた。 「颯斗。」 「…隆史さん。」 なるべく気づかれないように… 手の震えを隠すようにキツく握った。 「入れよ。そんな格好で寒かったろ。夜出かける時は羽織るもん持たないと風邪引くぞ。」 「え、あぁ、うん。」 隆史さんはいつもと変わらなかった。 俺が身構えすぎたのかもしれない。

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