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第7話
隆史さんは悪い人じゃない。
怒らせる俺が悪い。
前に一度だけこうなった事がある。
それ以来、俺は隆史さんの顔色を窺うようになった。
もう、怖いのも痛いのもヤダ。
あの時はシュートと遊びに行った日だった。
それを隆史さんが偶然見かけて、呼び出されて、なにも知らない俺は適当に誤魔化して今日は行けないって断った。
だって、シュートと居たかったから。
家に帰ったら隆史さんが待ち伏せしてて、散々殴られて足の骨を折られた。
逃げられない俺のケツを、切れて腫れ上がるまで犯して、どこもかしこも痛かった。
シュートが心配するから、インフルエンザも流行ってたしそれを理由に嘘ついて大学を休んだ。
顔とケツはその期間でなんとかなったけど、骨は当然治るまで時間かかった。
熱でフラフラしてアパートの階段から転げた事にした。
でも、今はまだインフルエンザは流行ってないし、また骨をやられたとして同じ理由はもう使えない。
シュートには心配かけたくないし、こんなの知られたくない。
俺はこんな時でもシュートの事だけ考えてる。
だって仕方ない。
好きで好きで大好きで…
だから仕方ない。
「考え事とは、余裕だな、颯斗。」
顔に強烈な痛みが走った。
二回、三回…
四回、五回…
次々拳が打ち込まれる。
口の中に鉄の味が広がる…
痛い…
痛い痛い痛い。
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