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第11話

口がヒリヒリする。 なんか身体中痛いし… とにかく口んとこ… ちょ、マジ… 「いってぇーっ!!」 ガバッと身体を起こした。 勢い良すぎて頭がぐわんぐわんしてまたそのままの勢いでボスッと逆戻りした。 身体が弾む。 ここ、ベッドの上?… 目線だけキョロキョロさせる。 真っ白い天井… 知らない場所… 「大丈夫ですか?」 「…え……」 知らない声が聞こえた。 声が聞こえた方を見た。 ピンセットを片手に持った知らない人… 「それ程の元気があるのならば大丈夫そうですね。」 そう言ってその人は笑った。 黒髪のショートヘアで前髪が長めなその人は、きっちりスーツを着こなして、左目の下に泣きぼくろがあって、それがセクシーで… 凄く美人な人なんだけど… でもなんか… なんか… 凄く眠いや… *** パチッと目が開いた。 俺はまた寝てたっぽい。 部屋は真っ暗だった。 身体も顔もまだ痛い。 まだ暫く痛いのは続きそうだ…と思うと溜息が出る。 唇の端に違和感があって、そこに触るとなにかがくっついてた。 触った感覚からいってバンドエイド。 さっきの人が?… 夢じゃなかったら、あの人が俺を助けてくれた事になる。 助けてくれただけじゃなくて、手当てまでしてくれた。 「すっげぇ親切…」 ホント、拝み倒したくなる。 ありがたやありがたや… 「…ん…っ…」 近くでキシッと軋む音がして、ふと横を見ると隣のベッドにあの人が寝てた。 やっぱり美人さんだ。 でもなんか… 美人さんだけど… さっきの笑顔も含めて、儚くて淋しげな人だなって感じた。

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