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第5話

「名前、聞いてもいい?」 「……りお」 よかった。 ぼそぼそとだけど、ちゃんと答えてくれる。 「おうちはどこ?」 「……しらない」 しらないことは無いだろうけど…… 家出かな? ご両親と喧嘩でもしてしまったのだろうか。 この調子だと家に返すことは難しい。 「じゃあ、今夜は僕と一緒に寝よう。客室はすぐには準備が出来ないからね」 そう言うと、りおくんはほっとしたように顔を緩めた。 怒られるとか、帰らされるとか思ってたんだろうな。 ほんとはそうしないといけないんだろうけど、怒るのも怒られるのも僕はあんまり得意じゃない。

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