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第15話

コール音を聞いている間、受話器は手汗でぐっしょりと濡れていった。 「はい。白河 律です」 あの人だ…… あの人の声だ。 ゆっくりと話す落ち着いた声。 安心して、ぽたぽたと涙が落ちた。 「っ、ひぅ……ふっ」 「え?大丈夫ですか!?」 必死に嗚咽を堪えていると、心配させてしまった。 名前、名前言わなきゃ。 きっと、大丈夫。

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