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仄かに

「大丈夫か?」  そう言って電灯を持って入ってきてくれた君の顔は、俺をとても心配しているようだった。  作業をしていたら突然部屋が真っ暗になってしまった。これでは作業ができない、と灯りを探そうとしていたら、君が来てくれた。 「大丈夫だよ。ありがと」 「暗くなって怖くないか?」 「平気」 「本当か?」 「本当だよ」  俺は伸ばしていた君の手を引っ張り、そのまま抱き寄せた。  暗くなって怖かったのは君だったのかな。もう大丈夫だよ、俺がそばにいるからね。  そう思いながらぎゅっと全身を抱き締める。 「く、苦し……」 「ごめんごめん。暗くて作業ができないからこのまま休憩するよ」  嬉しそうな表情を眺めながら俺は君の手を握った。 (この作品は第49回Twitter300字ssの企画に参加した作品です)

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