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小さな花園

 休憩がてらキッチンへ向かうと、君は難しい顔をしながらテーブルを眺めていた。  俺はそっと近付いて話し掛ける。 「どうしたの?」 「んー……」  俺の問いに応えることなく、ただじっと唸るだけであった。  君の視線の先に目を向けると、君愛用のカップがそこにある。  俺はこれに負けてしまったのか。  そう思いながらじっくりと中を覗くと、黒っぽい液体の上に、ピンク色の何かが浮かんでいた。 「花……?」 「淹れたら浮かんできた」 「へぇ。風流な飲み物だねぇ」 「ん……」  明らかに不満そうな表情を浮かべる。これはよっぽど嫌だったのかな。 「俺が飲むよ」 「んっ」  差し出されたカップを受け取り、ほのかに甘いコーヒーを飲み干した。 (この作品は第52回Twitter300字ssの企画に参加した作品です)

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