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積み上がる

 少し筆を進めては、これでは駄目だと紙を捲り、くしゃくしゃと丸めてからゴミ箱へと放る。  もう何度それを繰り返したのだろうか、ゴミ箱の周辺へと散乱し始めていた。 「ふぅ……」  これでは君に怒られてしまうな、そう思いながら椅子の背もたれへと体重を預ける。  俺の本来の仕事道具が壊れてしまい、仕方なく代わりのものを使っているが、やっぱり作業効率が悪い。  かつては今のように作業をしていたはずなのに、いつの間にか楽な方法が変わってしまった。  これはこれで便利になったものだな。一人の部屋で思わず笑っていた。  他にも変わったことといえば、君の存在だ。身も心も、全てが君に染まっている。俺はもう、君がいなければ生きていけないな。  そんなことを考えていたら、部屋のドアが開けられた。  音に気付いた俺は、チラリとそちらを振り返る。  俺が散らかした部屋の惨状を見て、すっかり呆れたような溜め息が出ていた。 「……どうしたらそんなに散らかせるんだ?」 「気付いたらこうなってた」 「全く……」 「で、どうしたの? いつもなら突然入ってこないのに」 「仕事道具、戻ってきたぞ」  そう言って君は、手に持っていた箱を差し出してきた。  もう少し掛かると思っていたが、もう戻ってきたのか。  嬉しい誤算に安心感を覚え、箱を受け取る。早速中を開けると、買ったばかりと思うような俺の仕事道具が入っていた。 「……散らかっていたら仕事にならないんじゃないか?」  ブツブツと文句を言いながら、君は部屋を去っていった。きっとこの後、このゴミ箱の周辺を掃除してくれるのかな。  感謝を心の中で伝えながら、梱包していたものを新たにゴミ箱の横に置き、仕事道具の電源を入れる。  少しボタンを弄り、設定が終わるのを待っている。  ふと頭の中に言葉が湧いてきた。この感覚が最高に気分がいい。  先ほどまで文句しか出てこなかったものたちを手に取り、俺は溢れ出るものをそこに書き連ねていった。 (Twitterの創作BLワンライ&ワンドロ!への参加作品です。お題は「ゴミ箱」です)

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