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もう少しそばにいて

 この寒い時期、布団に包まれているととても温かくて心地がいい。  だから、ここから出るのが非常に億劫だ。 「おい。いつまで寝てるつもりだ」 「起きてるー」 「だったらそこからとっとと出ろ」  家事を頑張る君の姿がとても輝いて見える。それが、あまりにも眩しくてどんどん出る気がなくなっていく。  次の行動は決まっている。 「とっとと出ろ!」  強引に俺から布団を剥がし、俺を本格的に起こそうとしている。 「ひゃあ……寒い……」 「俺だって寒い。ほら、起きろ」  君の手が俺に向かって伸びてきた。そうして俺はぐっと引っ張って君を抱き寄せる。 「って……」  布団よりも温かい、君の温もりが心地いい。 「あと、ちょっとだけ……」 (この作品は第61回Twitter300字ssの企画に参加した作品です)

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