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さようならの家路
空がまるで燃えているように赤い。
俺はそんな光景を見ているうちに、とある旋律が思い浮かんだ。
早く帰って団らんしようだったか、そんなこじつけがあったようななかったような。
美しいはずの曲だったのに、なんだか虚しくなってきた。
光が去ってしまうせいかな。俺はこの時間が好きではない。
また明日もやって来るから大丈夫かもしれないが、今この瞬間にいなくなってしまうのが嫌なのかな。
君にそう言ったら全く理解はされなかったけれど、君は俺をそっと包み込んでくれた。
俺が待っている、と。
その言葉は俺を安心させてくれた。
だからこうして俺は今、外へ出ていられる。
君の待つ家へ帰ることが楽しいくらいに。
(この作品は第68回Twitter300字ssの企画に参加した作品です)
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