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第3話

 僕は僕のために真っ赤になって告白してくれる女性ではない。  部活中に香る汗の匂いや、ボディタッチが激しい友人との接触。  体操着に着替える時に見える鍛えられた腹筋やがっしりした太ももに欲情してしまう。  いや、ほぼ欲情するのは遼限定だって気づいたんだけど。  友情の先に何もないことは分かっていたので、何も言わず友人として終わりたかったんだ。  でも僕よりモテる遼に、告白現場を目撃されて少し気まずいな。 「お前、彼女作らねえの?」 「……いつ補欠になるかわからない腕前でチャラ付きたくない」 「綺麗な顔だから、補欠の方が俺は安心するんだけどな」 「なっ それは馬鹿にしてるのか」  同じぐらい運動しても、同じ量を食べようとしても、遼のように筋肉がつかないしそんなに量が食べられない。  そんな僕に対して、キャプテンの余裕発言につい興奮して声を荒げてしまった。 「いや、すまん。そんなつもりじゃなかったんだ」 「……僕もごめん。着換えてくるよ」  踵を返して部室に向かおうとして、腕を掴まれた。 「お前が女と付き合うとか考えたら、すげえ嫌だった」 「遼?」 「女に全く興味なさそうなくせに、俺が着換えていたらときどきわざと背中むけたり視線を泳がすよな?」  気づかれていた。それだけで死にたくなる。  伸ばされた手をふりほどき、部室へ逃げ込もうとして後ろから抱きしめられた。

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