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第5話
初めて遼を受け入れたのは、夏休みの最終日だった。
だらだらと課題をしていたあの日。
蝉の声が聞こえなくなったな、って俺が言うと、遼がそうだなって返して、……グラスの中の氷が溶ける音がして、そして冷房の稼働音が部屋中に響いていたっけ。
向かい合って座っていたのに、僕の横に来て、何度も何度も唇を撫でたあとキスされたまま押し倒された。
冷房が入っているのに。
お茶が入ったグラスには、沢山汗が浮かんでいるのに。
蝉の音が聞こえないのに。
他人の体温はこんなに熱いのかと、やたらと汗が出たのを覚えている。
痛みの方が強かったけれど、幸せだった。
女ではない僕を、それでも一緒になりたいと、指でほぐして中に入ろうとしてくれた。
繋がろうとしてくれた遼の顔が、汗ではない水滴でぼやけた。
やたらと汗をかき、痛みをこらえるために奥歯が痛む。
そんな、夏休みの最終日。
僕たちは、甘いとは程遠い、セックスをしたんだ。
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