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第10話

「……リハビリ、五年……」 「ゆっくり説明していきます。俺は一条征孜。作業療法士で、貴方を担当して、……貴方に命を救われて、そして貴方のためにこの職に就いたものです」 「……僕、が」  揺らいでいた視界の中、ようやく彼の輪郭をとらえた。  柔らかそうな金色の髪。悪戯っ子みたいな含んだ笑い方に、驚くほど澄んだ綺麗な瞳。  綺麗な造形をしているのに、派手な金色の髪が台無しだったけど、それでも遼みたいに人目をひく顔だった。 「俺は、絶対に貴方を目覚めさせるって、悪魔に魂を売る計画もしてたんですよ。悪魔狩りに外国に行こうかなってね」 「……はは」  表情もくるくる変わる子だ。悪魔の部分で、鬼みたいに人差し指で角を作って舌を出していた。可愛い。 「あ、主治医も紹介する。呼ぶよ。この病院の院長直々だよ。バカな身内のせいで、風海さんを危険な目に合わせたからね」 「身内?」 「あ。……遼兄ちゃん。遼兄ちゃんは俺の母親の弟なの。ここ、俺の実家で、一条病院。って色々言っても今は分からないですよね」 「遼……病院……」  僕が何か考えようとしていたら、頭を撫でられた。

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