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第19話
「わっ」
支離滅裂だと自分でもわかっているが、五年間の間に体重は10キロ減少していた。
湶が浮いていて貧弱な体つきになっていた。
なのに一人で立ち上がるには、自分の体がとても重く感じるんだ。
征孜君の手が離れて、代わりに手すりにしがみつく。
手すりを握る握力さえもまだ弱かったけれど、僕は自分の足で地面の上に立っていた。
「……わあ」
「ね。おめでとうございます。風海さんはまだ若いから、回復が早いんですよ」
「若いって、君の方が若いのに」
クスクス笑うと、征孜くんの顔がとろけるように綻んだ。
わあ、格好いい人が笑うと、とてつもなく可愛く感じる。
「この柔らかい素材の地面はどうですか」
「ほんと、柔らかいね。でも、なんだかまだふらつくから、ちょっと怖いかもしれない」
「あー……そっか。そうですよね。固いのは転倒したときに怖いけど、でも普通の時は固い方がいいのか。なるほど」
熱心に僕の意見に耳を傾け、尚且つメモ帳まで取り出している。
「征孜くんって丁寧だね」
「俺の活動報告書見ます? 『〇月×日晴れ、風海さんの寝顔、今日も麗しい』とかしか書いてねえっすよ」
「あはは、絶対嘘だ」
でも絶対、僕のことは書いていると思う。
見たいような見たくないような、不思議な気持ちだ。
「風海っ」
笑っていたら、中庭の入り口からコートを翻して向かってくる遼を見つけた。
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