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第20話
遼は大股で僕の元へ駆けつけると、全身を見て立っている僕に驚いていた。
「もう歩いても大丈夫なのか」
「あはは、君も心配性だな。どうだ。立ってるだろ」
「小鹿みたいに震えてますけどね」
「征孜くんっ」
もーって怒ると、舌をだして笑う。
そんな征孜くんに、またもや僕も笑っていたら遼の顔がどんどん辛そうになっていく。
「どうしたの、遼?」
「あ、いや、無茶はするなよ」
「大丈夫。君の甥っこは優秀な作業療法士だから。それに怪我だって全然ひどくないし」
まだ怪我のことを気に病んでいるのかと思うと申し訳なく感じた。
もう僕はとっくに大丈夫だし、回復に向かってるのに。
「さて、風海さん。そろそろ戻りましょう。今日はリハビリ室にも案内したいし」
「え、あ、うん」
「……よくもまあ、図々しく風海さんの前に現れて名前を呼べますよね、叔父さん」
――叔父さん?
いつも話の話題に出るときは、遼兄ちゃんって呼んでいたから少し不自然で首を傾げた。
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