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第21話
「俺、貴方のこと、最低で薄汚くて、俺と風海さんの前から消えてほしいって思ってるんですけど」
「ちょっと、征孜くん、何を言ってるんだ」
「……風海さんが目覚めた今、今度は消えてくれなきゃ困るんです。意味、分かりますよね」
刺々しい征孜くんの言葉に、遼はゆっくり目を閉じた。
「ああ、わかっている」
「ちょっと、遼まで、どうしたんだ、いったい?」
二人は、仲がいいんじゃなかったのか。
親戚なんだし、それに――。
急に頭が痛くなって、手すりにぶつかりながら座り込んだ。
「風海さん」
「風海っ」
――海。
――晴れた青空、入道雲。
――金髪の少年。
「うっ」
「風海さん、俺、――ごめんなさい」
俺を抱えて、車椅子に乗せてくれたのに、ドキドキと胸が早鳴って苦しくなった。
「ごめん。ごめんなさい。貴方の前で責めるんじゃなかった」
「一体、なんであんなひどい言い方をしたんだ? 遼はもう散々事故のことで責められてきたんだ――」
言い終わらないうちに、征孜くんの手が僕の口を覆い隠した。
「貴方の口から、あいつをかばう言葉は聞きたくない。絶対に聞きたくないんです」
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