27 / 138
第27話
「式に参加してくれるのか」
震える遼の声。僕は、全ての感情を涙の中に流しながら泣いた。
ふらふらとベットに近寄ると、遼は僕のベットに顔を埋めた。
「俺のことを、一生許してくれなくていい。一生、許してくれるな」
「遼……」
「今、お前の手で、殺されてもいいと思った」
顔をあげない遼に、僕は首を振る。
「幸せにすると誓った相手の前で、君は不誠実だ」
「……そうだな。俺は最低だ」
差尻さんが遼を見たあと、僕に目配せした。
「私、他の方の検温があるから」
親友二人のために空気を読んで出て行ってくれた差尻さんに、今はただただ空気を読んでほしくなかったな。
遼と二人になるのは、あまりに辛い。
「風海」
「僕ね、気づいていたんだよ」
顔をあげようとした遼の頭を、抑えてしまった。
弱弱しい押え方だったのに、遼は顔をあげなかった。
「大学に入って、遼の部屋に女性の香水の匂いとか、あと偶に朝帰りとか、分かってたんだ。遼は僕と違って同性愛者じゃないって。ただ一人でいる僕の面倒を見てくれていただけなんだって」
「ちが、それは違う、風海」
頭を撫でていた手を掴まれ、顔をあげた。
苦しそうな顔は、反則だ。君がしていい表情ではないだろ。
僕は、君が僕以外の女性を抱いていたのを知っていたし、柔らかい女性の体の方に惹かれて言っている君が知っていた。
だから、離れないように、君が望めばエッチは絶対に拒まなかった。
僕は、知っていて必死に君にしがみついていた。
僕がしがみつくのを辞めれば、君が女性を選ぶのを知っていたよ。
必死な僕を君が見捨てられないだろってね。
ともだちにシェアしよう!