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第40話

封筒の中身は、入社式に配られる予定だったパンフレットと、僕が入院中に勉強して資格を取ってくれたら助かるといった旨の書かれた書類。英検はもちろんなのだが、全国通訳案内士試験、国連英検、ほんやく検定、TOEICの一定点数など持っていると、実績として頼める仕事が増えると書いていた。 「征孜くん、ありがとう」 「いえ。俺は何もしてないけど、でもお礼より、同じ部屋で寝ることを許可してほしいな」 「それは嫌だけど、でもありがとう」 「諦めませんけどね。あと、……とても女性が多い会社でした。俺的には心配だからやめてほしいな」 ブツブツと征孜くんが何か言っているけど、それはそれで僕には助かった。 女性は恋愛対象ではない。 女性が多いなら、その方が心が穏やかになると思う。 「ん? なんで女性が多いって知ってるの?」 「ちょっと、ね。弟って嘘をついて、風海さんの不慮の事故について説明しに行ったんです。内緒ですよ」 ……わざわざ、目覚めるかもわからない僕のために、復帰したときように会社にかけあってくれていたのか。 誰もが目が覚めた時喜んでくれたけど、征孜くんだけは、未来も考えてくれたんだ。 これが作業療法士の仕事の延長上のことかもしれないけど。それでも僕は嬉しい。

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