45 / 138
第45話
征孜くんは、そういったのにものの見事に数分もしないで眠ってしまった。
椅子に座っている体勢から、僕のベットに突っ伏すように眠っている。
彼が枕にしている本を覗くと、翻訳された本ではなく原書のほうを読んでいたようだ。
そんなの、誰でも眠くなるに決まっている。
仕事中なのに……。
でも僕を朝方まで監視していてほぼ眠っていなかったようだから仕方ないよね。
誰も来ないように。
来てもバレないように、必死に腕を伸ばしてカーテンで彼を隠してあげた。
そして隣のベットからシーツも拝借して、肩にかける。
点滴が終わるまであと一時間ぐらいかな。
それまでは起こさないように、彼を隠して僕は再び原書と翻訳された本を交互に読む。
もう少しだけ、もう少しだけ時間がゆっくり進めばいいのにと願う。
「……さん」
「起きたの?」
「かざ、みさん」
むにゃむにゃと口を動かして、両手をシーツの上で泳がしている。
「かざみさん、好き……」
「起きてるんじゃないの、本当は」
鼻を摘まみつつも、僕の頬は熱くなっていった。
ともだちにシェアしよう!