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第48話
本当は、嫌だったんだ。
やりたくないし、逃げ出したかった。
死んだ父さんと同じ作業療法士なんてさ。
だけど、一週間経っても目を覚まさない風海さんを見て、決めた。
もし彼がこの先、目を覚ましたら歩行作業や日常生活に戻るためのリハビリが始まる。
それを、一番先に、誰よりも傍で、俺が支えてあげたい。
支えさせてほしいと思った。
『やめろ、風海、大人が来るまで行くな』
遼の制止を振り払って、飛び込んでくれた風海さん。
バカやってかってに溺れた俺なんて、助けなくていいのに。
通りすがりの、赤の他人じゃないか。
俺が溺れているのを見ている人はいたけど、飛び込んだ人は彼だけだった。
あの時と状況は違う。
あの時、風海さんは他人なのに飛び込んでくれた。
俺は貴方に命を救われた人間で、貴方のために何かしたいのに、貴方は幸せそうだったからなにもできず目で追うことしかできなかった。
けれど今は違うよ。
貴方が幸せそうに笑う裏で、泣いているのを知ってしまったから。
朝のように眩しく笑うのに、夜のように隠れて泣くことがないように。
俺は貴方を守りたい。
だから医者なんてやる根性はなかったけど、でも――あなたのためなら。
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