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第52話

「全然、おかしくないよ。正義感が強くて真っすぐで格好いいよ」 「え、それ、もいっかい、俺の携帯めがけて言って! 動画に保存したい!」 あいつが婚約しているのに風海さんが庇っていた時は、もっと俺に警戒していた。 なのに、今、ちょっとだけ心を開いてもらえたような……? じっと顔を見ると、困ったような顔をしている。 やっぱそんなに心は開いてもらえないらしい。 「君は、素直だね。周りの顔色を窺って意見を言ったりしないんだ」 「まあ、一時期ぐれたというか、道にそれた時期があるんで、あんま他人の意見はどうでもいいというか、あ、風海さんだけは特別なんですけどね。へへ」 もっといっぱい、愛の言葉を囁きたいが、目の前の本人は額に汗を滲ませて頑張って歩いている状態だ。 そんな雰囲気ではないので、少々抑えて伝える。 「僕はさ、普通じゃないでしょ。だから、人の意見は顔色ばっかり窺ってしまうんだ」 「普通じゃない……まあ、普通のそこら辺の野郎より綺麗ってか同じ産地に思えない、天から降ってきたって感じ?」 「あのね、ちょっと真面目に話してるんだよ」 ふーっとため息を吐いて、骨折している方の腕で汗をぬぐう。 痛み止めが聞いてるのかな。あまり痛めた方は使わないでほしい。

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