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第57話
俺は差尻さんにコテンパンに怒られて、シャワー台のあるフロアの窓からドアからすべて全開で、風海さんの髪を洗うことになった。
外では、小児科で入院中の子どもたちが院内保育士と一緒に庭に遊びに出かけていた。
車椅子や点滴の子、鼻からチューブを入れた子も、思い思いにチョークを持たされて庭の床に落書きをしていいと言われたようだ。楽しそうな笑い声と共に、床が色鮮やかに染まっていく。
そうか。明日は雨だ。
だから許可が下りたんだろう。
子どもたちは自由にチョークでいろんな絵を描いている。
「楽しそうな声がするね」
タオルで目を隠していた風海さんが窓の方へ顔を少しだけ傾けた。
「子供たちが庭で遊んでいるんです。そうだ、図書室もあるんですよ。小児科の方なんですけど」
「……へえ、図書室かあ。いいなあ」
柔らかい声。
ああ、俺はこの人の声すらも胸が切なくなるぐらい愛おしい。
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