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第64話

う。 すごい。潮の香りが充満してる。 中は暖かく、壁には使い込まれたサーフボードや空気ボンぺなどが並べられている。 夏になると丸い木のテーブルが数個並べられ、二階にはそうめん流しの機械が一日中稼働していて賑やかな場所。今は、壁際にごちゃごちゃと釣り道具やサーフボートなど機械が置かれて少し乱雑している。 「あれ二階かな。俺がよく家出していた時に面倒見てくれてた渡辺さんが店長なんだ。二階から毛布出してくるから、そこで待っててください」 征孜くんは慣れた手つきで、壁にかけられていた鍵を一つ取ると、二階へ上がっていく。 うわあ。そうか、征孜くんもサーフィンできるんだ。 僕はボードに乗ってもひっくり返っちゃって苦手だったんだけど、征孜くんが波に乗っている姿は見てみたいな。 『別に。俺のことなんて誰も必要としてねえよ。死にたかったんだよ、うるせえな』 「……?」 ふっと後ろから叫ばれた気がして振り返る。 けれど後ろは閉まったドアがあるだけだ。 空耳にしては、はっきりと聞こえてしまって驚いた。 「やべえな、急に波が高くなった」 「あのままだと渡辺さん、流されそうだったっすね。年だし」 「お前なあ」

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