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第70話

「もちろんです。風海さんのそばにいるだけで暖かいんですよ」 「……これ、一つ、肩にかけといたほうがいいよ」  膝にかけていた毛布を渡すと、首を振られた。 「駄目です、俺が持ってきた毛布をどう使おうかなんて俺の勝手です。全部、風海さんが持っててください!」   頑なな態度に、それ以上はもういいかなってあきらめた。 「……僕のせいで、遼と君が仲が悪くなってるのは、正直見ていて気持ちがいいものではないよ」 「それは、……すいません」 少し口籠りながら、嫌そうに謝られた。 反省はしないってことだろう。 「じゃあ風海さんも、さっさとあんな男、心から全部追い出してください」 せっかく海を見に来ているのに、海なんてどうでもよくなるほど彼の言葉は僕をえぐった。 追い出したつもりでも、姿や匂いだけで胸が苦しくなるんです。 どうしていいのか、自分でもこの気持ちが分からなくて悔しいんだ。 海は先ほどより風が強くなったせいで水しぶきを上げて波が押し寄せてきている。 「今度はちゃんと自分の足で海に来るよ」 「俺の言葉は無視ですか。まあ、先輩がそういうなら、リハビリ、頑張りましょうね」

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