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第72話

そんな問題じゃない――。 そう思ってるのに、原因が僕だから何も言えない。 きっと征孜くんは、本当に寝袋で眠っている。 海で僕が遼と会って会話してしまったから、それを気にして監視すると思う。 昨日の今日で、僕を信用してくれるはずはない。 「あの、当直室とかどこかちゃんと眠れる場所で眠るように伝えていただけませんか」 「談話室が一番いいのよ。貴方の病室も、エレベーターも階段も見える。彼なら大丈夫よ」 「差尻さんっ」 「お休みさない。一時間後に点滴を変えに来るから」 逃げるように電気を消して廊下に出て行ってしまった。 ああ。本当に僕が弱いばかりに。 仕事で疲れている彼に僕を監視させるわけにはいかない。 でも隣のベットで寝られるのも、ちょっと抵抗があるかな。 何が起こるってわけじゃないけど、自分に好意を持っている相手にベットで眠ってって言うのも、不誠実な気がする。 でもどうすればいいだろう。 困った。困ったのに――。 恥ずかしながら、まだ僕は体力は全盛期に遠く及ばず。 髪を洗うために車椅子に乗ったり海を見たり、沢山おしゃべりをした。 それだけでも疲れて、いつしかうとうとと船を漕いでしまっていたんだ。

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