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第77話
「兄が一週間、帰ってきていないので、着替えを持ってきました」
「一瞬間帰っていない? えっと君は」
男の子はランドセルの中から紙袋を取りだした。どうやらランドセルの中身は着替えだったようだ。
「僕は、一条 一文字。征孜お兄ちゃんの弟です」
「あーっ 征孜くんの、弟くん!? え、可愛いっ」
「かわ……その言葉は僕にはふさわしくありませんね。僕は男ですので」
不満げに言ったくせに、咳祓いしたあと僕を見た。
「けれどお兄さんも、男のくせに綺麗です」
「あー……ありがとう。体重とか激減したからね。見た目じゃ男っぽくないかもしれない」
「いえ。征孜お兄ちゃんが、家に帰らないで貴方を守りたくなる気持ちが分かります」
隣に勝手に用意されていた征孜くんのベットの上に、次々と着替えを並べながら僕の顔を観察している。
「家に帰らないって……征孜くん、一週間も帰ってないの?」
「はい。母に着替えを押し付けてはいるので、お風呂には入っているようですが家には全く」
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