あとは、夜中に見に行くしかない。 本当に眠れていないのか、そしてそれはどうしてだろうか。 僕が心配で監視していて眠れないのだったら、隣で眠ってくれたらいい。 頑張りすぎて倒れられても困る。 彼にこれ以上僕のせいで負担をかけさせたくないんだ。 「風海さーん。回診が始まるけど、今日のごはんは大丈夫そう？」 ノックしながら入ってきた差尻さんは、もう一人若い看護師さんを連れてきた。 名札に井田と書かれている。 「大丈夫です。えっとこんにちは」 頭を下げると、緊張してがちがちの看護師さんが、ロボットダンスみたいなお辞儀をしてくれた。 「この子、私と一緒に風海さんの担当になったからお願いしますね。私、来月結婚式だから、ちょくちょく抜けさせていただくことが増えちゃうので、急遽担当を増やしてもらったの」 「そうなんですか。よろしくお願いいたします」 「あ。食事の件伝えてくる。井田さん、自己紹介しててください、すぐ戻るから」 廊下へ消えていく差尻さんに困惑しつつも、僕の方を見る。 綺麗な黒髪と大きな瞳。派手めな美人の差尻さんとは違い、和風美人というか可愛いらしい人だ。 「よろしくお願いいたします。その……一応同級生なので、覚えてないかもですが」