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第82話

「ええ、同級生なんですね。じゃあ、遼も知ってるのかな」 「はい。あの……私、中一のころ」 彼女はなにか言いかけた後、僕を見て頬を染めた。 「振られちゃったんですけどね。私情は挟みませんので、よろしくお願いいたします」 深々と頭を下げられ、驚いた。 中一のころなら、申し訳ないけど何度か女子から告白された気がする。 でも中学の終わりごろには、体格のいい遼みたいな男子の方がモテてて、僕みたいなもやしは告白されるの全くなかったから。 名前を聞いてもピンとこなかったのは申し訳ない。 「うん。よろしくお願いいたします。それで、迷惑じゃなければ一つ、お願いがあるんです」 「はい」 「もしかして、談話室で作業療法士の征孜くんが眠ってるんじゃないかなって思うんですが」 「そうですね。私が当直の時はいますよ」 やっぱり。 ということは眠っていないという話も本当だろう。 「じゃあ、消灯時間になったら、こっそり彼の元へ行くので、もし途中で歩けなかったら呼んでもいいですか?」 「え……まだ病室の外は看護師の補助がなければだめですよ」 「だから、できなかったら呼びます。付き添われたらバレちゃうから」

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