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第115話

食堂は、食事制限されていない人ならだれでも入れる。俺たち職場の人たちが利用することの方が多いが、患者とお見舞いに来た人たちの雑談も可能で――。 ということは、食事制限がとれたのかな。熱は大丈夫なのかな。 先日まで何気なく聞けたことなのに、今は話しかけるのも怖い。  それは現実を突きつけられるのが嫌で逃げているんだと思う。 風海さんがあいつとよりを戻すのが怖い。  絶対に俺が入れる隙がないし、俺があいつを非難できる部分がもうなくなってしまう。  風海さんを自殺に追い込むほど酷い仕打ちをしたのは、間違いないのに。 こそこそと食堂に忍び込むと、風海さんは大きな柱の向こう側に隠れてしまった。 あそこは周りと少しスペースが大きくとられているから、耳を澄まさないと話が聞き取れない。 だけど入り口から見えないから、一人で入るにはいい場所かもしれない。 「すみません、差尻さんお時間を頂きまして」 だけど、風海さんは一人じゃない。 どうやら差尻さんと待ち合わせしていたらしい。 「ううん。どうしたの? 私に遼について相談って」

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