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第128話

それまで弾んでいた彼の声が、急に低くなった。 それもこれも全部、いい加減な僕の最低な行為のせいだ。 彼は悪くないのに、僕のせいで傷ついている。 「大丈夫。僕から話すよ。何か持って行った方がいいのかな」 「えーっとハンカチとちり紙と」 「子どもみたい」  くすくすと笑ってごまかす。  でもそれを伝えると、彼はそそくさとリハビリテーションへ戻ってしまった。  それと入れ替わりで、今日はいつもより早く遼が僕の病室へやってきた。  時計を見ても、まだ食事前だ。  遼はいつも、食事後、21時の面会終了時間ぐらいまでいるのに。 「今、大丈夫か?」 「え、うん」 「イルカがあっちに来てるんだが、お前って外出許可出る?」  このタイミングでその話題が出るとは思わず少し焦る。  外出許可は、いつも征孜くんが手続きしてくれているからよくわかっていない。 「イルカ、みねえか?」

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