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第129話

「えっと、外出許可はいつも征孜くんがとってくれてたんだ」 「今から用事はねえな?」 「ない、こともないけど」 「歩行訓練ももう終わったろ?」 「でも……」 歯切れの悪い僕の様子に、遼は少し眉を上げて頭を掻く。 「人目があるところで二人で仲良くしてたら、俺への誤解がとれると思うんだけど」  ずるい!  そういってしまいそうになってガバっと遼の方へ顔を上げてしまった。  遼とやり直すつもりはないから、そんな誘いは断りたかったし期待を持たせたくない。  けど、遼への誤解を解くのは、罪滅ぼしとして当たり前なんだ。 「言い訳や理由を、好きなだけ考えておけよ。それで自分を納得させとけ。外出許可をとってくる」 「遼!」  手をひらひら振って、ナースセンターの方へ歩いて行った。  遼はいつも自分本位で強引で、僕は捨てられないように必死でしがみつくしかなかった。  ずるい。ずるすぎる。  人目があるところで遼といるのは問題ないけど、でも。  それを見て、征孜くんが悲しい顔をするのだけは見たくなかった。

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