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第136話

「僕は、遼や征孜くんの前から消えるべきだって思いました。退院したら、僕は自力でどこか遠くで、一人で頑張らないとなって思うんです」 「……ほお」 「一緒に居ても別れても辛い相手です。でも、僕は遼にはこの先ずっと感謝してます。大切な思いを沢山くれた相手だから」 きちんと僕たち二人の未来はないと話してからさよならしようと、決めた。 この5年間で君を傷つけてきた僕に、何ができるかと言えばそれぐらいじゃないかな。 「お前さんよお」 「はい」 「決断は潔いが、誰一人幸せにならんけど、いいんか」 「二人は、きっと僕がいない方が幸せになれます」 「ふうん?」 納得できなさそうな渡辺さんは、モニターのスイッチを弄りだした。 イルカの声、超音波をキャッチするモニター画面に切り替えて、そして椅子に座ってボタンの周りを爪でカッガッと叩きだす。 「うーん」 「渡辺さん?」 「いやあな。お前、マイナス思考で俺とは全く価値観も物の見方も違うからよお。どうすっべかなあって」 「僕のことまで心配してくれてるんですか」 「だってお前さん、子どもの征孜を海で助けて一回、記憶が混濁してるし。言葉に気を付けないといけねえみたいだしなあ」

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