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第15話

目を潤ませているあっくんは、紙に顔を埋めると震える声で小さく零した。 「10年頑張って良かったっ」 「……」 そんな風に感動しても、どうせ最初だけだって。 俺、根性ないし何かしてあげれることないし、臓器提供ぐらいしかきっと見返りもない。 「もういいだろ? 家に案内を」 「あっ」 あっくんは思い出したように顔をあげて、俺の方を見た。 「市役所に届けてきます。少し待っててくれますか? 一緒に行きますか?」 「え、待たないし、一緒に行かない」 「……分かりました。では、ヘリを呼ぶので10分で帰ってきます」 思い詰めた顔で携帯で誰かに電話をしようとしていたので、慌てて止める。 「待つ! ここで待っててやるから!」 「ありがとうございますっ」 嬉しそうに車から出ると、使用人だろうか、そいつが乗ってきた別の車に乗り込んだ。 「お、おい、この車は?」 「それは和葉さんにプレゼントなんです」

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