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第16話
め、免許持ってない!
ど、どういうことだ? もしかして俺は誰か、アラブの石油王のドナーと一致したとか?
それでアラブの石油王に莫大な金で売られる?
だから、こんな端金どうってことないとか?
ライオンみたいなマークの車に、これはどこのメーカーなのか首を傾げていたら、あっくんが車から乗りだして手を振りだす。
「和葉さん、池に鯉を放ってます。背中にハートマークの鯉がいるんです」
「わかった。わかったから行け」
「ふふ。和葉さん、愛してま――す!」
言いながら車を発進させたあっくんは、すぐに見えなくなった。
浮かれているのは、アラブの富をゲットしたからだろう。
というか、警官なんだよな? 警察の服を着ていたし。
なのにどう見てもあれはスピード違反だったぞ。
「和葉さま、旦那さまが帰るまであちらで休まれてはいかがでしょうか」
使用人らしきおじさんが、椅子とパラソルを出してくれている。
この人も家に入れないのか、庭の隅にボストンバックを置いている。
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