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第18話
入口の門から入ってすぐから、館の縁側から見れるぐらい大きな池。百メートルはあるかな。
アーチ型の端が三か所設置されているけど、透き通っていて池に映し出されている。
別世界みたいに綺麗だ。秋は紅葉とか水面に浮かんだら美しいだろう。
「そうでございます。私の趣味で亀も放流させていただいております」
「へえ……」
「鯉も10匹ほど泳いでいるはずです。背中にハート型の鯉は一番大きくて、美しいですよ」
「そうなんですか」
不思議だ。
この10年、ほぼ家から出なかったし、パソコンの画面と資料とたまにカーテンをあけるだけだった俺が、今こうして良く分からない高級車を貰い、婚姻届にサインして、呑気に池の鯉を探しているなんて。
「失礼ながら、私も一つお伺いしてもいいでしょうか」
「はい」
「和葉さまは、10年間昭親さまと離れておいででしたが、その10年間で何回昭親様を思い出したり懐かしんで下さりましたでしょうか」
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